サイトアイコン 管理栄養士 赤松るみ|40代から人生を変える食事の学校

妊娠後じゃ手遅れ?!妊婦になる前の女性は貧血対策やるなら今!

 

先日、勤務先の産婦人科クリニックで
栄養相談をした後、妊婦さんから
出産報告のご連絡を頂きました!

栄養相談後に
ご連絡をいただけることは
なかなかないので
うれしい報告が聞けて
この仕事しててよかったぁと思いました。

3786gのビッグベビーだったそうですが、
お産自体は1時間程度にもかかわらず、
大量出血のため貧血がひどく、
しばらく安静だったそうです。

無事、出産できてなりよりでしたが、
お産は命がけで危険も伴うものだと
あらためて感じました。

そこで今日のテーマは妊娠と貧血。
妊婦さんの貧血対策が
母体はもちろん、赤ちゃんにとって
いかに大切かをお伝えします。

妊婦さんに限らず、
妊娠を考えている方、
いつか子どもを産むかもしれない方、
そんな娘さんをもつお母さんはぜひ、
目を通してくださいね。

 
 
【目次】

 
 

日本人の妊婦の約3人に1人は貧血 その理由は?

「妊婦は貧血になりやすい」
と聞いたことがあるでしょうか。

50歳未満の日本人女性の貧血は
22.3%ですが、
妊婦は約30~40%が
貧血になると言われています。

なぜ、妊婦は貧血になりやすいのか?
 

自分だけでなく
赤ちゃんにも酸素や栄養を送るため

酸素や栄養を運ぶのは血液なので、
妊娠時はより多くの鉄分が必要です。

 

つわりで栄養不足になる

つわりになると吐き気がひどくなり
食事がきちんととれなくなります。

それまで貧血になったことがなくても
体の中にためていた鉄の貯金が底をつき
貧血を引き起こしてしまいます。

 

出産時の大量出血に備え
母体が血液を大量生産しようとする

母の体はすごいもので、
妊娠時の大量出血に備えて
血液をたくさん作るようできています。

ただし、血液の液体成分である
血漿が最大47%増えるのに対し、
血液の血球(赤い部分)は
17%程度しか増えません。

その結果、血液が薄い状態になり
貧血になりやすくなるのです。

妊娠時は貧血になりやすい状況が重なるので
「私は大丈夫」と思っている方も
しっかり鉄分チャージする必要があります。
 
 


にほんブログ村

 

【次ページ】妊娠してからの鉄剤では間に合わない?

 
 

妊娠してからじゃ手遅れ?!
妊娠前の貧血対策が必要な理由

貧血になれば鉄剤を飲めばいい
と思われるかもしれませんが
それでは間に合いません。

鉄剤を飲んでも貧血が改善されるまで
最低1~2ヶ月はかかるからです。

妊娠がわかるのはだいたい6週目頃。
そこから鉄剤を飲み始めても
妊娠10週頃まで貧血に効きません。

この6週目から10週は
赤ちゃんの成長にとても重要な時期。

赤ちゃんは妊娠3~8週に
心臓や肺、胃腸、神経系が形成され、
8週~11週頃には
これらの臓器が働き始めます。

妊娠がわかってから鉄剤を飲んでも
赤ちゃんの発達に重要な時期には
間に合わないんです。

また、鉄剤の服用は吐き気や便秘といった
副作用を引き起こすことがあります。

ただでさえつわりで食事が喉を通らないのに
鉄剤を飲むのはつらいもの。

さらに妊娠中は便秘になりやすいので
スッキリできないと不快感はつのります。

妊娠時に体内に十分な鉄があれば
ある程度の貧血は避けられます。

妊娠前から鉄分を含む栄養のある食事をして
鉄分を体内に貯金しておくことが大切なのです。

 
 


にほんブログ村

 

【次ページ】貧血に備える食事はこちら


 

妊娠前から準備!妊娠時の貧血に備える食事


 

鉄分は吸収率を高めて上手に摂る

貧血の原因のほとんどを占めるのは鉄不足。
食事でしっかり鉄を摂ることが大切ですが、
鉄は非常に吸収率が悪い栄養素。

吸収率を高めるポイントは
鉄の種類を見極めること。

鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。

ヘム鉄の吸収率は10~20%
非ヘム鉄の吸収率は数%~5%程度
 


 
ヘム鉄と非ヘム鉄の吸収率の差は5~6倍!

鉄分不足を解消するなら、
ヘム鉄を積極的に摂るのがおすすめです。

 

非ヘム鉄も上手に摂れば大丈夫!

ただし、吸収率がいいからといって
ヘム鉄だけを摂ればいいのかというと
そういうわけではありません。

実際、日本人が摂っている鉄の
ほとんどは非ヘム鉄。
大切なのはヘム鉄と非ヘム鉄を組み合わせて、
鉄分の必要量を満たすということ。

なので、頑張って鉄分を摂っていたけれど、
実はどれも非ヘム鉄だった!という人もご安心を。
上手なヘム鉄、非ヘム鉄の摂り方をご紹介していきます。
 
 

ヘム鉄が多い食品と摂り方の注意点

ヘム鉄が多い食品

 

レバー(鶏、豚、牛)


 

赤身の肉


 

青魚(いわし、かつお、まぐろ、さんまなど)


 

赤貝など赤身の貝など


 

この中でダントツに多いのはレバーです。ただし、食べ方には注意点が↓
 

妊娠中はレバーは食べ過ぎ注意!

鉄分が豊富なレバーは100g摂るだけで
1日の鉄分必要量がまかなえますが、
動物性のビタミンAも多く含まれている点が要注意。

妊婦がビタミンAを摂りすぎると、
奇形のリスクが高まることが報告されています。
特に赤ちゃんの体が作られる
妊娠3か月までは食べるのを避け、
それ以降も週1回程度に抑えましょう。

 
 

非ヘム鉄が多い食品と摂り方の注意点

 

非ヘム鉄を多く含む食品

雑穀類(あわ、たかきび、アマランサス、キヌアなど)


 

貝類(赤身以外のもの)


 

小松菜、ほうれん草


 

卵(黄身)


 

大豆製品


 

海藻類


 

プルーンなど


 
 

非ヘム鉄が多い食品と摂り方のポイント

ビタミンCを意識して吸収率UP

非ヘム鉄はビタミンCを含む食品と
一緒に摂ると吸収率がアップします!
 

ビタミンCが多い食品

パプリカ

 

ブロッコリー


 

柑橘類


 

キウイ


 
 

タンニンを含む飲み物は避けて!

タンニンを含む飲み物は
非ヘム鉄の吸収を阻害することがあります。
食後30分以内は控えましょう。
 

タンニンを含む飲み物

コーヒー

 

紅茶

 

緑茶

 

おすすめは
麦茶、ほうじ茶、ハーブティーなど!


 
 

また、貧血の人は鉄分に限らず、
他の栄養素も不足している傾向があります。
鉄分だけにこだわらず、
まずは1日3食、
栄養のあるものをバランスよく
しっかり食べることを意識しましょう。

 
 

妊娠のための貧血対策まとめ

●妊娠中は貧血になりやすい!

●妊娠後に鉄剤を飲んでも間に合わない

●赤ちゃんの体の発達のため
 日頃からの貧血大切が重要

●鉄は吸収率のいいヘム鉄を
 積極的に摂る

●非ヘム鉄はビタミンCや動物性たんぱく質と
 一緒に摂って吸収率をUP!

●鉄分に限らず栄養の詰まった食事で
 バランスよくしっかり食べる

妊娠を考えている女性は
早めに鉄欠乏に対する備えを始めてください。
妊娠してから貧血治療をしても、
赤ちゃんに悪影響が出るリスクが
あることを認識しましょう。

鉄分不足を解消することは、
結果的に栄養不足を解消することにも繋がり
母子の健康にとってプラスになりますよ。

では今日も、おいしく食べて、元気に過ごしましょう!
 
 


にほんブログ村

 

モバイルバージョンを終了