「白い炭水化物」は体に悪くて、「茶色い炭水化物」は体にいいって本当?

 

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管理栄養士の杉本 留美です

 

「糖質制限ダイエット」「低炭水化物ダイエット」ですっかり悪者扱いのごはん。でも同じごはんでも、体に「いいもの」「悪いもの」があると言われたらどう思いますか?

今日は私が大好きな「ごはん」が本当に健康に悪いのかについて書いてみたいと思います。
 
【目次】

 
 

「健康に良い炭水化物と健康に悪い炭水化物」がある?

炭水化物には、「健康に良い炭水化物」と「健康に悪い炭水化物」がある

そう記されているのは「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」(著:津川友介 UCLA助教授/医師)

さまざまな食材の健康への影響を「科学的根拠(エビデンス)」にもとづいて紹介している話題の健康本です。

(1)炭水化物は健康に悪く、食べると太る
(2)βカロテンやリコピンは健康によい
(3)果汁100%のジュースは健康によい

このような「科学的根拠のない健康情報」は、信頼度の高い研究結果からすると間違いである。と本の中で詳しく解説しています。

非常に興味深い内容で、一気に読み上げました。これまで読んだ健康本に比べると参考文献も多く、客観的な視点が書かれていて非常に読みやすいです。

ただ、どうしてもひっかかってしまったのが白米についての記述。

「白い炭水化物」は体に悪く「茶色い炭水化物は体にいい」とはっきり明記してあるのです。

以下の抜粋をご覧ください。

私たちにとって最も身近な炭水化物は、白米や小麦粉であり、これらは精製された炭水化物である。このように精製して柔らかくて食べやすい形にすることを(白っぽくなるため)「精白」すると表現し、米であれば「精米」すると呼ぶ。

そして、この精白されている「白い炭水化物」は、血糖値を上げ、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気が起こるリスクを高める可能性があることが、数多くの研究から報告されている。

その一方で、玄米のように、精製されていない「茶色い炭水化物」の多くは食物繊維や栄養成分を豊富に含み、複数の研究で肥満や動脈硬化のリスクをむしろ下げると報告されている。つまり、すべての炭水化物が悪者なのではなく、どんな炭水化物を食べるかで健康に関しては逆の効果があるのだ。

(P103-104)

 
ふむふむ。

つまり、白米は体に悪く、玄米は体にいいということですね。

この記述の根拠となっている研究は、欧米人を対象にした精製小麦と全粒粉小麦を比較した研究が大半を占めています。
 

「小麦と米は違うでしょ」といいたいところですが、米に関する研究も含まれていました。

アメリカ人の男女を対象にした「白米と玄米の摂取による2型糖尿病のリスクを比較した研究」や、世界的に権威のある英国の医学雑誌に掲載された、「白米と糖尿病の関係に関する4つのコホート研究(ランダム化比較試験ではない)の結果をまとめたメタアナリシスの結果」がそうです。

これだけなら「欧米人と日本人は違うはずだ」といえるのですが、日本人についてのエビデンスもありました。

2010年に、権威あるアメリカ栄養学会の学会誌に掲載された国立国際医療研究センターの南里明子氏(現在の所属は福岡女子大学)らが行った日本人のデータを用いた研究です。

この研究によると、日本人においても白米の摂取量が多ければ多いほど、糖尿病になる可能性が高くなることが明らかになっています。
 
う~ん。

白米はこてんぱんですね。


 
この後、津川氏は白米は食べ過ぎなければいいというものでさえなく、減らせば減らすほどいい、とも述べています。白米を抜いてお腹が空くなら、玄米に置き換えればいいとのこと。

「白米が食べられないなら、玄米を食べればいいじゃない」と言われても、私みたいに玄米好きなら問題ありませんが、白いごはんがやめられない人は多いでしょう。
 
でもね、白米と玄米、もともとは同じ「こめ」なのに、精米したかどうかでそんなに違うものなのでしょうか?


 
 

玄米と白米の栄養成分を徹底比較

そこで、玄米と白米の栄養成分を調べて比較してみました。一番右の欄には、玄米に含まれる栄養素が白米の何倍なのかを表わしています。


玄米と白米の成分比較

成分項目等 玄米100g当り 米100g当り 玄米/白米比
エネルギー 350kcal 356kcal 98%
たんぱく質 6.8g 6.1g 111%
脂質 2.7g 0.9g 300%
炭水化物 73.8g 77.1g 96%
食物繊維 水溶性
0.7g 微量
不溶性 2.3g 0.5g 460%
総量 3.0g 0.5g 600%
ビタミン E トコフェロール α 1.2mg 0.1mg 1200%
1 0.41mg 0.08mg 513%
2 0.04mg 0.02mg 200%
ナイアシン 6.3mg 1.2mg 525%
6 0.45mg 0.12mg 375%
葉酸 27mg 12mg 225%
パントテン酸 1.36mg 0.66mg 206%
ビオチン 6.0μg 1.4μg 429%
ミネラル
(無機質)
カリウム 230mg 88mg 261%
カルシウム 9mg 5mg 180%
マグネシウム 110mg
23mg
478%
リン
290mg 94mg 309%
2.1mg 0.8mg 263%
亜鉛 1.8mg 1.4mg 129%
0.27mg 0.22mg 123%
マンガン 2.05mg 0.80mg 256%
セレン 3μg 2μg 150%

玄米と白米の食品成分値は、文部科学省 科学技術・学術審議会資源調査分科会報告の「日本食品標準成分表 2010」 「こめ[水稲穀粒]の成分」から抜粋
玄米/白米比は、これらの数値に基づいて当社で計算した値

 
玄米と白米を比較すると、エネルギーや炭水化物量はほとんど変わりません。玄米から糠(ぬか)、胚芽(はいが)を取り除いたものが白米なので、本質は同じものなのです。

ただし、食物繊維、ビタミン、ミネラルの量を見ると、その差は歴然!

電化製品に例えると、本体は同じだけど、オプション機能がたくさんついてるって感じでしょうか。

栄養素という点で見ると、玄米のほうが白米よりも栄養豊富であることは明らかです。

 
ただ、そうはいっても、白米をやめて玄米にするのって、けっこうハードルが高くありませんか?

同じ「こめ」とはいえ、味も風味も食感も違いますし、玄米は炊くのに長い浸水時間が必要です。白米に比べると消化に負担がかかるので、小さな子供さんや、玄米に慣れていないご高齢の方は控えたほうがいいかもしれません。

それに、中身は同じなのにオプションがついているかどうかで、健康に良いか悪いかが変わるなんてやはり腑に落ちません。

ごはんは毎日食べるものなので、おいしく、食べやすく、無理せず続けられるものを選びたいものです。

そこで白米は本当に健康に悪いのか、おいしく食べて健康になるにはどうすればいいのかについて、これからお伝えしていきます。
 

が、長くなったので続きはまた明日。

ご愛読ありがとうございます。

>>「白い炭水化物」は体に悪くて、「茶色い炭水化物」は体にいいって本当?(後編)に続く