ロカボに警鐘「低炭水化物食は死亡リスクを高める」と欧州心臓学会で発表!




 

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管理栄養士の杉本 留美です

今日は低炭水化物が死亡リスクに与える影響を報じた最新情報をご紹介します。
 

【目次】

 

炭水化物を控えすぎると危険?!

2018年8月28日、ドイツのミュンヘンで開かれたヨーロッパ心臓学会の集会で「低炭水化物は死亡リスクを高める」という発表がされました。

この研究はポーランド・ウッチ医科大学のMaciej Banach医師らによるもの。1999年~2010年の米国国立健康栄養調査調査(NHANES)に参加した2万4825人を対象に低炭水化物と死亡リスクを調査したものです。

その結果、平均6.4年の間に低炭水化物食をとっていた人は総死亡リスクが32%高くなったと報告されました。なかでも、冠動脈性心疾患は51%、脳血管疾患は50%、癌は35%も死亡リスクが上がったというのです。

さらに同じ研究チームが実施したメタアナリシス分析でも同様の結果が出されました。こちらは44万7506名を対象に、平均15.6年間かけて7つの前向きコホート研究をメタアナリシス分析で調査したところ、低炭水化物食は死亡リスクが15%高く、冠動脈性心疾患のリスクは13%、癌は8%高くなったのです。

Banach医師は「低炭水化物食は、体重を減らし、血圧を低下させ、血糖コントロールを改善するために短期間に有用かもしれないが、我々の研究は、長期的には、心臓血管疾患、脳血管疾患、および癌のリスクを高める可能性がある。」「低炭水化物食は安全ではなく、推奨すべきではない」と語っています。

参照元 https://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/Press-releases/Low-carbohydrate-diets-are-unsafe-and-should-be-avoided
 
 

「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」という報道は?

炭水化物と死亡率の関係については、約1年前の2017年8月29日に、「ランセット」誌のオンライン版に「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」という記事が掲載され、議論を呼びました。

情報元となったのは世界十数か国の研究機関の共同研究で、「5大陸18か国における脂肪及び炭水化物の摂取量と心血管疾患および死亡率との関連性(PURE)」と題する論文。

ただしこの論文は、農村部の都市化が及ぼす影響を調べるための研究結果。対象となる国や地域で高炭水化物食(全エネルギーの60%以上)を食べている人は低所得者層が多いことが指摘されています。

炭水化物はたんぱく質や脂質が豊富な肉や魚などよりも安いため、低所得者層では食事に占める割合が高くなりがち。それ以外の食べ物から十分な栄養を摂れなくなり、栄養不足になったことが死亡リスクを上げている可能性もあるのです。

報道されたように「炭水化物をとる量が多いほど死亡リスクが高くなるため、糖質制限を行ったほうがよいことが証明された」ということにはならないという専門家の意見もあります。

参照元 Dehghan M, et al. Lancet. 2017 Aug 28. [Epub ahead of print]
 
 

尽きない炭水化物論争の行く末は?

炭水化物を減らすべきかどうか。結論はまだ出ていません。多分、この先もしばらく出ることはないでしょう。炭水化物に好意的かどうかが、専門家や研究者の間でも意見が分かれているからです。

私の場合、ごはんを減らす方がいいか、増やす方がいいかと言われれば、迷いなく後者を選びます。だって、低炭水化物食が長期的に見て体にいい影響があるとはどうしても思えないからです。大好きなごはんをガマンして制限し続けるのはストレスもたまります。それに、我が家は家系的に上部で長生きです。健康長寿を目指すならぴんぴんコロリがいいし、そのためにはごはんは大切だと考えています。

糖質制限派の方がよく例に出す狩猟時代の話は、超高齢社会の日本人には当てはまりません。ヒトは野生動物を狩り、木の実を採集して暮らしていました。当時の人達にとって食べること=今を生きることで、健康長寿のことなんて考えていなかったでしょう。

人口学の小林和正氏の研究によると、縄文時代、日本人の平均寿命は男女ともに15歳程度だったと推定されるそうです。その後、農耕によって炭水化物を栽培し、火を使って調理して食べるようになったことで、食料の共有は狩猟時代よりも安定し、寿命も延びていきました。

炭水化物を食べて進化してきた私たちは、炭水化物を食べて健康長寿になれるはずです。ただ、進化の過程で健康に生きるため以上に「幸福感を感じる」ために食事をするという精神的な進化が加わってしまい、栄養バランスが崩れてしまいました。必要な量を適度に食べていれば、炭水化物は悪者ではありません。それは脂質にも言えることです。

私は管理栄養士になる前、血糖値を下げたくて炭水化物を極端に減らした時期がありました。(↓当時の食事の写真) その時は怖いぐらいに体重が減り、顔もやつれて、精神的にも非常に不安定になりました。

もちろん、糖質制限の方法がうまくなかったからともいえますが、炭水化物を減らした分を、たんぱく質や脂質で完全に補うのは簡単ではありません。また、完全に補えたとしても、肝臓や腎臓、血圧への影響は避けられないでしょう。

その後、雑穀ごはんとみそ汁中心の食生活に変えたところ、体重は元に戻り、顔つきもおだやかになり、肌ツヤがよくなって、精神的にも落ち着きました。

炭水化物についてはこれからも様々な研究が行われると思いますが、もう一喜一憂することはありません。ごはんとみそ汁中心の食事が、体の栄養を満たし、心も落ち着かせてくれると分かったので、しばらくはこの食事法を続けていきたいと思います。
 
では、今日もおいしく食べて元気に過ごしましょう!

 

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