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管理栄養士の杉本 留美です
白ごはん1杯(150g)の糖質は角砂糖14個分と同じ
って聞いたことありますか?
この言葉を聞いて「ごはんは太る」「食べるのを控えよう」と思った人も多いのではないかと思います。
でも、それは誤解です!
ごはんと砂糖には糖質が入っていますが、その中身は異なっています。
この記事では、私たちが太る原因はごはんではなく砂糖だということをご紹介します。
【目次】
- 砂糖は依存性のある魔性の食べ物
- 砂糖に含まれる果糖は中性脂肪を増やしやすい
- 「果糖ブドウ糖液糖」「ブドウと果糖液糖」?
- ごはんのデンプンは大切なエネルギー源
砂糖は依存性のある魔性の食べ物
先日の記事でもご紹介した通り、ネズミはエサに囲まれていても太りません。動物は自分たちの体を一定に保つように本能が働くからです。本来、人間にも同じ本能が備わっています。
>>私たちが食欲をコントロールできない理由について詳しくはコチラ
ネズミのエサには全カロリーのうち、炭水化物(デンプン)が約60%、タンパク質が約30%、脂肪が約10%含まれているのが一般的。炭水化物が全体の半分以上を占めていても、ネズミは太らないんです。
ところが、同じ種類のマウスに約30%の脂肪と約20%の砂糖(ショ糖)を含む「高脂肪高ショ糖」をエサを与えると、どんどん太りだして、体重の増加が止まらなくなります。
砂糖だけ、脂肪だけを多く含んだエサを与えてもマウスは肥満体型になりますが、砂糖+脂肪の組み合わせが最もよく太るのだそう。
これは、甘いものと脂肪は、「もっと食べたい」という欲求を脳に感じさせ、依存症のような状況を作り出すから。砂糖のおいしさを知ると、食べるのをやめられなくなるのはこの依存性のためです。ごはんの糖質(デンプン)にはこのような依存性はありません。
砂糖を多く含む飲み物や、砂糖と脂肪がたっぷり入ったお菓子は私たちをとりこにして太りやすくする魔性の食べ物なんです。
砂糖に含まれる果糖は中性脂肪を増やしやすい
砂糖の主成分であるショ糖はブドウ糖と果糖が結合することでできています。ブドウ糖はごはんにも含まれているので、よくかんで食べると甘く感じますよね。果糖はその名前の通り、果物に多く含まれていいます。この果糖の摂取には注意が必要です。
ブドウ糖に比べて果糖は内臓脂肪を増やす危険性が高く、満腹感を与えにくいことで知られています。また、果糖を大量に摂取
すると中性脂肪が増えやすくなることが報告されています。さらに、糖は摂りすぎると「糖化反応」といって血管を傷つけてしまうのですが、ブドウ糖に比べて果糖の糖化反応は約10倍も強力なんです。
リンゴ半分、バナナを1本食べる程度ではそこまで大量に果糖をとることになりませんが、砂糖として摂ると簡単に大量摂取できてしまうので危険です。
「果糖ブドウ糖液糖」「ブドウと果糖液糖」?
さらに最近では、「果糖ブドウ糖液糖」「ブドウと果糖液糖」という異性化糖と呼ばれる甘味料が砂糖に次いでよく使われています。
異性化糖はトウモロコシなどのデンプンを分解してできたブドウ糖の半分程度を果糖に変化(異性化)させたもの。安価で大量生産できるので、お菓子やパン、冷凍食品やドレッシング、ソースやたれなど、甘くないように思えるものも含めて、ありとあらゆる加工食品の原材料になっています。
「果糖ブドウ糖液糖(果糖の含有率が50%以上のもの)」や「ブドウ糖果糖液糖(果糖の含有率が50%未満のもの)」といった文字を原材料欄に見つけたら、果糖と同じようにとり過ぎないよう注意してください。
ごはんのデンプンは大切なエネルギー源
一方、ごはんのデンプンはブドウ糖だけからできているので、砂糖や異性化糖のように、依存症になったり、中性脂肪になる危険性は低いといえます。
また、ごはんは粒状でよく噛んで食べるので、炭酸飲料やスポーツドリンクのように一気に体に流し込むことはできません。そのため大量摂取してしまう度合いはそこまで高くありません。
ごはんを食べると食事全体の栄養バランスが整い、おかずの食べ過ぎを防ぎ、塩分や脂肪を摂りすぎてしまうリスクを減らします。ごはんのデンプンは消化が良く、効率のいいエネルギー源なので、内臓に負担をかけずに私たちを元気にしてくれます。
また、満腹感が得られやすいのでごはん中心の食事をすると食べ過ぎを予防できるんです。
もちろん、ごはんのデンプンも適量以上に摂れば太る原因にもなりますが、それはどんな食べ物にも言えること。
デンプンは昔から私たちの栄養を支えてきてくれた大切なエネルギー源です。砂糖や異性化糖と並べて比較するのは適切ではありません。
なお、この記事でご紹介した内容は、「一度太るとなぜ痩せにくい? 食欲と肥満の科学」という本でわかりやすく解説されています。
一度太るとなぜ痩せにくい? 食欲と肥満の科学 (光文社新書)
新谷隆史 (著) 2018/7/18
ごはんや砂糖だけではなく、砂糖と脂肪、タンパク質、運動などについても、太りにくい生活習慣のヒントが詰まっていますよ。
では、今日もおいしくごはんを食べて、元気に過ごしましょう!