市販の生野菜サラダは栄養満点で健康にいいの?

 

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管理栄養士の杉本 留美です

栄養相談で「野菜食べてますか?」と質問すると「サラダを食べています」というお答えをよくいただきます。この場合のサラダは手作りのこともありますが、ほとんどはカット野菜か外食かお惣菜の生野菜サラダです。

昭和の時代(古い?)に比べると、生鮮野菜より加工食品や外食で野菜を摂る割合が本当に増えましたよね。

総務省の家計調査からも、加工食品(野菜以外の加工食品も含む)にかける食費が増えていることがよくわかります。

【食料消費の用途別支出割合】

出展:総務省「家計調査」

ただ、サラダに加工された野菜を食べることは本当に健康にいいのでしょうか?

野菜不足を補う=野菜サラダ

という考え方があまりにも一般的になっているのになんともいえない不安を感じるので、この記事では市販の野菜サラダについて、またサラダ以外で野菜不足を補える商品についてご紹介したいと思います。
 

【目次】

 
 

市販のサラダを見るたびに思い出す怖いお話

コンビニ、スーパー、デパ地下やカフェでお惣菜のサラダを見るたびに思い出す怖い話があります。それは、直木賞作家、篠田節子さんが書かれた「ブラックボックス」という小説。

ブラックボックス 篠田節子著

2013年に出版されたこの本は、食の安全性、中でも野菜の安全性にフォーカスした社会派サスペンス小説。

主人公は、会社の不祥事で故郷にIターンした元キャリアウーマンの女性。地元のサラダ工場に就職するのですが、そこで衝撃的な光景を目にします。

・ハイテク農場の完全制御下で太陽の光を一切浴びずに栽培された工業製品のような野菜

・腐敗や変色を防ぐため、薬品に入ったプールに入れられ、「栄養」や「うま味」まで洗い流されていく様子

・失われた野菜本来のおいしさを添加物で補い、おしゃれにパック詰めされて出荷されるサラダ

・身体にいいはずの野菜を食べて体調を崩していく町の子供たちや工場の従業員たち

都会で働いていた時は体にいいと思って食べていたサラダが、どのような場所でどのように作られているのかを目の当たりにして、主人公は愕然とします。

この小説のモデルになっているのがどのお店のサラダかはわかりません。おそらく都心のおしゃれなお店で販売されている、そこそこいいお値段のサラダなのでしょう。

もちろんフィクションなので、小説に書かれているようなことは、実際の現場では起きていないのかもしれません。ただ、かなりリアルに書かれているので、ドキュメンタリーなのかな?と錯覚するほどです。

・本当に体にいいものは何なのか?
・どうやって安全な食べ物を選んでいけばいいのか?

その答えが出ないまま小説は終わってしまいます。

簡単な解決策が出る問題ではないので、答えは自分達で見つけるしかないようです。食の安全性について深く考えさせられる小説なので、興味がある方は手に取ってみて下さい。

 
 

市販の生野菜サラダは加工の過程で栄養が失われやすい

生野菜サラダを食べるうえで、最も気にしてほしいのは収穫されてからどれぐらいたった野菜なのかどうか。

「その調理、9割の栄養捨ててます!」という本にもあるように、調理法で野菜の栄養価は変わります。ただし、調理以上に栄養の損失が大きい要因は、収穫されてからの時間の経過!

野菜は収穫されてからも成長を続けようとするので、自分の栄養を消費してしまうのです。

例えばほうれん草のビタミンCは、収穫3日後に約70%に、7日後には約55%にまで減少するといわれています。

つまり、野菜はなるべく近くで採れたものを、なるべく早く食べることが大切!

そう、地産地消です。

市販の野菜サラダの多くは、都心から離れた工場で加工・パック詰めされることが多いので、収穫からの時間は長くなりがち。口に入るころには栄養がかなり失われている可能性が高いということを知っておいてください。
 
 

生野菜サラダの野菜が色鮮やかでシャキッとしている理由

野菜サラダの野菜って、色もきれいで本当においしそうですよね。ただ不思議だと思いませんか?家で切ったキャベツは、しばらくすると断面が茶色く変色しますよね。レタスも変色したり、しなっとしたり…。

でもお店に並んでいる野菜がそうなっていたら、誰にも買ってもらえません。

そこで市販のサラダは変色を防ぎ、食感が損なわれにくいよう、薬品で処理を行っています。食中毒を防ぐために消毒も行われています。

一般的に使われるのは次亜塩素酸ナトリウムという消毒液。

次亜塩素酸ナトリウムは、飲料水、食品加工機器、プールの水や浴場水などの消毒や漂白に使われています。私が病院に勤めていた時も、生野菜は全て食品専用の次亜塩素酸ナトリウムで消毒していました。

↓病院で使っていた食品用の消毒液はコチラ

生野菜による食中毒を防ぐために、消毒作業はかかせない工程です。

使用後はもちろん、洗浄によって洗い流されます。そのため添加物としての表示はありません。ですからサラダを食べる人は、その野菜に消毒薬が使われたのかどうか、意識することはないでしょう。

また、食品の酸化による変質を防止する「酸化防止剤」として「pH調整剤」を使うこともあります。「pH調整剤」により食べた時のシャキシャキ感を出す効果もあります。こちらは原材料に表記されるので確認してみるといいでしょう。

さらに上記の小説「ブラックボックス」では、野菜に旨味を添加しているものの存在が大きく取り上げられていましたが、そういったものを使用しているかどうかはメーカーによって異なると思います。

自分が普段食べている野菜サラダに何かが添加されているかどうか知りたければ、パックに記載されている原材料を確認してみて下さい。野菜とドレッシングの材料以外に見慣れない原材料が驚くほどたくさん書かれていることに気づくかもしれません。

市販の野菜サラダは、採れたて野菜をカットしてそのまま詰めたものではありません。消毒、殺菌された野菜を清潔で安全と思うか、不自然で栄養が失われていると思うかは自分で判断するしかありません。
 
 

野菜不足を補うのに活躍するもの

ここまで読んで「野菜サラダは栄養が減っている可能性があるというなら、何を食べればいいの?」と思った方も多いでしょう。
地元でとれた新鮮な生鮮野菜や、それらを使ったサラダや野菜のおかずを食べていただければ一番ですが、それが難しい方は、以下のような野菜を活用してみて下さい。
 

冷凍野菜

冷凍野菜の栄養価は生野菜を加熱した場合とほぼ同じと言われています。旬の時期に加工されているので残留農薬が少なく、栄養価も高いのでおすすめです。
冷凍野菜ってほうれん草やブロッコリーぐらいしかないと思っていたのですが、最近はコンビニやスーパーでも品ぞろえが豊富です。業務用ですがこんなおしゃれな冷凍野菜もあるんですよー↓

 

 

缶詰野菜

トマト缶に代表される缶詰野菜も冷凍野菜と同じく旬の時期に加工されているので、残留農薬が少なく、栄養価も高いです。
ちなみにトマト加工品って最近では紙パックタイプもあるですね。缶詰ではありませんが…四角いから省スペースだし、燃えるゴミとして出せるからこっちの方が便利だと思いました。

完熟カットトマト紙パック 300g×6個


 

乾物野菜

切り干し大根に代表される乾物野菜も栄養満点。味噌汁やスープ、ラーメンなどに加えるだけで簡単に野菜がとれるので便利です。

サラダだとかさが多くて食べるのが大変という人も、乾物ならかさが減って食べやすいと人も多いのではないでしょうか。

乾物といえば、切り干し大根ぐらいしか思いつかなかったのですが、探してみるとこんな便利なものがありました。

↓この商品は九州産のにんじん、キャベツ、小松菜、ワカメが入っています。低温エアーズドライ製法という方法で作られているので、お湯で戻した時のシャキシャキ感が魅力!1袋100gで、500g分の野菜がとれるそうですよー↓

 
 

この記事のまとめ

・野菜は収穫から時間がたつと栄養価が下がる
・野菜サラダなどの加工野菜は収穫されてから時間が経っているものも多い
・生野菜は食中毒を防ぐため、消毒、洗浄されて使用される
・生野菜は腐敗や変色を防ぐため、pH調整剤が使われることがある
・野菜を食べるなら収穫後すぐのものがおすすめ
・冷凍野菜は生野菜を加熱した場合と栄養価がほぼ同じ
・冷凍野菜、加工野菜は残留農薬が少なく栄養価が高い
・乾物野菜は手軽で便利

いかがですか?

野菜不足を補う=野菜サラダ

という気持ちに変化はあったでしょうか?

野菜サラダが必ずしもおすすめではないわけではありません。新鮮なサラダを提供しているお店もたくさんあります。新鮮な生野菜にはビタミンや酵素なども多く含まれていて栄養価も高いです。

ただ、野菜不足を補うには、サラダ以外の選択肢もあるということを知っておいてほしくてこの記事を書きました。

野菜は高騰していますが、それでも旬の野菜はサラダより安い値段で手に入ります。冷凍野菜、加工野菜、乾物野菜の価格は安定していて、使う手間が少ないうえ、日持ちがするので便利です。

また、生野菜サラダはボリュームがあって食べるのに時間がかかると感じている人は、加熱した野菜を中心に食べることをおすすめします。具体的には、お味噌汁を具だくさんにすること

「野菜を食べてください」というと、「おかずの一品増やさないと」と思う人が多いのですが、いつものお味噌汁にたっぷり野菜を入れてしまえばそれほど手間はかかりません。時間がない時は、冷凍食品や乾物野菜を使えばいいんです。

身近にあるものを上手に活用して、野菜をたっぷり食べてくださいね。

では、今日もおいしく食べて、元気に過ごしましょう!